認定鍼灸師制度が目指すもの

認定鍼灸師制度が目指すもの

 医療における認定制度(医学・看護・薬学・理学など)は、十分な知識・経験を持ち国民(患者や患者家族、医療者など)から信頼される標準的な医療を提供するための生涯研修システムを内包した制度です。なぜなら、認定制度は医療に関わる専門家によって組織されている集団(プロフェッショナル集団)であるからです。その趣旨に基づき(公社)全日本鍼灸学会認定制度は、1999年(平成11年)に開始され現在に至っています。

 この間、鍼灸を取り巻く環境や国民の意識は大きく変化してきました。そのため本会では、国民のためのより良い認定制度となるために改革する必要があると考え、2022年度からは「学術研修」「臨床研修」を必修とし、名称も「認定者」から「認定鍼灸師」に変更しました。今後は、「認定鍼灸師」「専門鍼灸師」の2段階制度の確立を目指しています(専門鍼灸師制度は準備中)。

 鍼灸学は、我が国の伝統医学です。医学・医療職種は、その本質において、人の人生に何らかの影響を及ぼす職業であり、厳しい倫理が社会から求められます。プロフェッション(profession:専門的職業)とは、複雑な知識体系への精通、および成熟した技能の上になり立つ労働を核とする職業であり、科学領域の知識とその修得、それに基づく実務を他者への奉仕に用いる天職であります。プロフェッションが社会から求められるものは、専門職としての力量(質の保障)、誠実さ、道徳、利他的奉仕、公益増進に貢献する意志であり、その見返りに社会は自律性と自己規制の特権をプロフェッションへ与えています。世界で実践されている伝統医療、国家資格であり独立開業権のある鍼灸師は、社会に求められるプロフェッションと言えます。

 鍼灸師がプロフェッショナル(professional:専門職や専門職集団)であり、プロフェッショナルリズム(professionalism:専門職や専門職集団の行動やプロセスあるいは気概、職業倫理など)をもつプロフェッションであり続けるには、社会から求められる科学領域の知識とその修得、専門職としての力量(質の保障)を維持、自ら学び続ける姿勢、専門職による自律性(プロフェッショナルオートノミー)が必要であります。そのために学術団体(学会、認定制度)は必要であると考えます。

 これからの医療は、従来の枠組みでは捉えにくいような発展が予想されますが、時代背景と動向を勘案しつつ、鍼灸医療における認定制度がより充実した制度になるよう、そしてこの制度が国民や会員1人ひとりにとって有益な制度になるよう努めてまいります。

認定鍼灸師制度の目的

①国民に対して安心・安全に鍼灸治療を委ねることができる施術ができる。

②標準的な一定レベルの学術水準を保つことができる。

③自ら学術研鑽と資質向上に努める姿勢(プロフェッショナリズム)を持つことができる。

④医療との連携する能力を担保することができる。


(公社)全日本鍼灸学会 認定委員会
担当理事 福田文彦

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