JLOM

「JLOM部」より、鍼灸を含む伝統医学の地位向上をめざすJLOM(日本東洋医学サミット会議)の活動の現況をご紹介します。

2022年より、
世界の医療の実態統計に
伝統医学が反映されるようになります

ICD-11(国際疾病分類 第11回改訂)に
「伝統医学」が収載されます

2019年5月、ジュネーブで開催された第72回WHA世界保健総会において国際疾病分類の第11回改訂(ICD-11)が承認され、第26章として「伝統医学の病態-モジュールⅠ」が収載されました。

ICD(国際疾病分類)は、疾病、傷害及び死因の統計を国際比較するためWHOから勧告される統計分類です。WHO加盟国は死亡率や罹患率の統計に最新のICDを使用することになっており、現在世界の100か国以上が使用しています。日本でも統計法に基づく統計調査に使用するほか、医学的分類として医療機関における診療記録の管理等に活用されています。

ご存じのように日本の医療の主流は西洋医学であり、1割~3割の窓口負担で標準医療が受けられる国民健康保険が適応されるのもほぼ西洋医学限定です。

しかし実は、このようなシステムで医療の給付が行われている国や地域は、世界全体から見れば少数派。大半の国々では、その国や地域ならではの伝統医学が行われており、従来の西洋医学ベースで構築されたICDでは疾病を網羅的に分類することができず、データを収集することもできませんでした。こうした状況を是正し、世界の医療の実態を統計に反映するために、「第26章 伝統医学の病態-モジュールⅠ」が設けられたというわけです。

世界ではさまざまな伝統医学が用いられていますが、今回いち早くICD-11に収載されたのは日本・中国・韓国の伝統医学です。

中国・韓国では既に、西洋医学と並行して中医・韓医の医療制度やシステムが整っており、両国とも国家主導で疾病分類ができていたこと、日本でも漢方は独自の発展を遂げ、1976年には148種類の漢方エキス製剤が医療保険に適用され、2001年からは漢方医学が医学教育のコアカリキュラムに、2002年からはさらに薬学教育にも導入されるようになっていたことが評価された形です。我々鍼灸の経脈病証(2本ある経脈の気血の運行に問題が起きたときにみられる症状)も取り入れ、東洋医学を証(pattern)と疾患(disorder)で表現しています。

2022年1月1日から
ICD-11を使用した統計報告スタート

ICD‐11は約30年ぶりに行われる大改訂です。今回の改定を受けて、2022年1月1日からICD-11を使用した統計報告が開始される予定ですが、それによって期待できるのは、

  1. 鍼灸の実態が明らかになる
  2. 西洋医学と東洋医学の相互理解が進む
  3. 鍼灸の研究が進み、エビデンスに基づいた鍼灸の提供が可能となって、日本国民の健康増進に貢献する
    (「伝統医学章新設記念講演会」斎藤宗則氏 明治国際医療大学・現鈴鹿医療科学の講演より)

の3点です。

また、JLOM副議長でもある本学会の若山育郎会長は「伝統医学章新設記念講演会」において次のように述べています。

「今後は医療行為の国際分類(ICHI)に「鍼による介入」を入れることを成功させなければいけない」

これからも全日本鍼灸学会はJLOMの主要メンバーとして、

  1. WHO国際分類(WHO-FIC)の鍼灸領域への普及(ICD-11、ICHI、ICF)
  2. 鍼灸領域の電子カルテ規格の開発
  3. WHO、ISO/TC249、ISO/TC215における鍼灸標準化の情報収集と公開

の進展に注力してまいります。

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